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【公布70年 論憲のすすめ 焼け野原の萌芽】 西日本新聞連載 つづき

2016年10月4日(火)

 おととい御紹介した 西日本新聞の連載コラム
  【公布70年 論憲のすすめ 焼け野原の萌芽】  の 続き

論憲のすすめ 焼け野原の萌芽(3) 報国弁護士から脱却
 西日本新聞 - 2016年10月01日 01時24分
 

  老練な振る舞いか、精いっぱいの意思表示か。民間から憲法草案が次々と発表される中、法の専門家である弁護士たちも1946年1月、遅ればせながら独自案をまとめた。ただ、その行為や内容に対する評価を聞いてもすっきりしない。

   ■    ■

 「突っ込みが足りない」というのは、福岡県弁護士会の迫田登紀子弁護士(48)。法曹関係者や市民でつくる劇団「ひまわり一座」の代表で、毎年5月3日に憲法をテーマに演じている。個人的には、基本的人権の本質を規定した憲法97条を特に大切にしているという。

 当時、独自案をまとめたのは、大日本弁護士会連合会という全国組織だった。国民投票制、議会権限の拡張、天皇大権の制限…。ただし、国民主権については明確にしていなかった。迫田さんは「明治憲法を引きずっており、これでは人権が軽んじられた戦争を繰り返しかねない」と疑問符を付ける。

 今年の憲法記念日。一座は、憲法に国家緊急事態宣言が盛り込まれて警察の捜査権限が拡大された近未来の日本に、政治に無関心な学生がタイムスリップするシナリオを演じた。「もしも劇の通りになったら、人権という武器を奪われてしまう」。先の大戦では物語ではなく、現実だった。

   ■    ■

 「仕方なかったのでは」というのは、同県久留米市で4代にわたって弁護士事務所を構える大石昌彦弁護士(54)。ちょうど祖父の代が終戦前後に当たる。

 大日本弁護士報国会-。44年に設立された全国組織である。戦局が厳しくなる中、弁護士もまた、国家総動員体制に組み込まれていった。罪を犯す人間は国賊とみなされ、弁護する側も「時局非協力」と批判された。個人の主張は反国家的とみなされた。

 「祖父は大正デモクラシーを理解した正義感の強い弁護士だったと聞いています」。そうであればこそ立場は苦しく、食いぶちを失った。旧憲法下、戦争が終わっても弁護士の地位は低いままで、検察側に懲戒権を握られていた。

 そんな中で革新的な憲法草案を発表すれば、どうなるか。「大変な時代を乗り越えようとする決心の表れと受け取りたい」。大石さんは祖父の時代を思う。

 もちろん、もっと厳しい見方もできる。神戸学院大の内田博文教授(刑事法)は「戦争に協力した後ろめたさを拭い去ろうとする社会ヘのアピール、アリバイづくりともいえる」と指摘する。問われるべきは「過去とどう向き合っていたのか」だという。

 終戦から4年後の49年、弁護士法が制定され、国権から独立した地位が確立した。その時に発足したのが日本弁護士連合会である。

=2016/10/01付 西日本新聞朝刊=




論憲のすすめ 焼け野原の萌芽(4) 民間案にGHQ注目
 西日本新聞 - 2016年10月02日 01時00分
 

 老紳士がうめいた。「これを受け入れろというんですか…」。1946年2月13日、吉田茂外相が連合国軍総司令部(GHQ)から憲法草案を示された場面の再現ドラマだ。改憲を目指す運動組織「日本会議」の関連団体が制作したDVDで、「押し付け憲法」を強調した内容になっている。

 結局、数々の民間草案は実らなかったのか。取材班は米国へ向かった。

   ■    ■

 首都ワシントンの近郊にある国立公文書館。GHQ草案を作成した主要スタッフの一人、ラウエル陸軍中佐が46年1月11日に書いた極秘メモを入手できた。

 題名は「私的グループによる憲法改正草案に対する所見」。統計学者の高野岩三郎氏=長崎市出身=ら民間7人でつくる「憲法研究会」がまとめた草案に着目し、綿密な検討を加えた上で「民主主義的で賛成できる」と高く評価していた。

 GHQ草案は46年2月4日から約1週間で書き上げられたとされる。研究会が草案を公表したのは45年12月26日。首相官邸のほか、GHQにも英訳して提出していた。独協大の古関彰一名誉教授(憲法史)は「新憲法の制定に向けた議論が行われる早い段階で、GHQの担当者が民間草案に強い関心を持っていたのは間違いない」と指摘する。

 こうしてできたGHQ草案に対し、日本政府は「うめく」だけだったのか。

   ■    ■

 〈あまりにも革新的で、とうてい日本の国情には合わないと思われた〉

 GHQ案の条文を巡る米側との折衝を担った法制局第1部長、佐藤達夫氏=福岡県うきは市出身=は、63年に西日本新聞へ寄せたコラムで振り返っている。後の内閣法制局長官である。

 ほんの半年前まで「一億玉砕」を叫び、終戦しても心に葛藤を残す国民は多かった。「丸のみするわけにはいかない」。当時41歳の官僚に激務の日々が始まった。次女の紀子さん(77)=東京都杉並区=は、毎日深夜に帰宅した父が、空襲で焼け残った蔵にこもり、乏しい明かりの下で英文タイプライターを打ち続けていた姿を覚えている。

 46年3月6日、憲法改正草案要綱の閣議決定にこぎ着けた。GHQ草案には議会の一院制や土地の国有化など現行憲法とは異なる条項もあったが、削除となった。佐藤氏は後年、紀子さんに折衝の様子を語っている。「日本のために良いものを一緒に作ろうという雰囲気だった」

 民間草案も参考にしたGHQの憲法作り。民意を意識した官僚の折衝。ところが今夏、バイデン米副大統領が「日本国憲法は私たちが書いた」と公言した。そのニュースを知った紀子さんは思わず声を上げた。「そんなことないわよ!」

=2016/10/02付 西日本新聞朝刊= 




   最終回には、鈴木安蔵の名前と 『五日市憲法』 の名称が出てきた!
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論憲のすすめ 焼け野原の萌芽(5) 源流は自由民権運動
 西日本新聞 - 2016年10月03日 01時00分
 

  老博士は種を明かした。「私擬憲法だよ」。声の主は晩年の鈴木安蔵氏(1904~83)。終戦直後、民間団体「憲法研究会」の草案作りに携わった憲法学者だ。歴史家の新井勝紘さん(72)=東京都=が若い頃、何を参考にしたのか尋ねると、そう答えたという。

 私擬憲法-。明治憲法の公布前に市井の人たちが検討した構想を指す。連合国軍総司令部も注目した憲法研究会の草案は、自由民権運動に源流があった。

   ■    ■

 大学4年の夏の興奮を、新井さんは今も鮮明に覚えている。明治100年に当たる1968年、民衆史ゼミの教授と一緒に東京都五日市町(現あきる野市)の山奥を訪ね、朽ちかけた旧家の土蔵を調査していた。

 竹製の箱を開くと、24枚つづりの和紙に「日本帝国憲法」の文字。書写かと思いきや、実は違った。〈国民ハ各自ノ権利自由ヲ達ス可(ベ)シ〉。明治憲法が公布される8年前の1881年、教師や地主、農民ら10~20代中心の地元有志で書き上げた私擬憲法だったのだ。

 基本的人権の尊重、教育を受ける義務、法の下の平等、地方自治権、言論や信教の自由まで盛り込まれた全204条は、やがて「五日市憲法草案」と命名された。「今の憲法には、祖先の民主主義や立憲主義への思いが流れている」。後に専修大教授となる新井さんは、日本近代史の研究に没頭していった。

   ■    ■   

 その数、90以上。坂本龍馬の「船中八策」を皮切りに、明治憲法に至る過程で多くの私擬憲法が生まれていた。それなら九州にもあったはず。取材班は国立国会図書館へ向かった。

 憲政資料室で調べていくうちに、1880年に福岡県の「筑前共愛会」が起草した「大日本帝国憲法見込書大略」という写本を見つけた。原本の所蔵先は「福岡市玄洋社」とある。

 玄洋社記念館(福岡市中央区)に問い合わせた。だが、吉村剛太郎理事長(77)は「民権結社として国会開設やアジア解放に力を注いだことは知られていますが…」。記念館から関連資料を寄託されている市博物館にも「原本は見当たらない」(学芸課)という。

 筑前共愛会には、玄洋社のメンバーをはじめ、士族や豪農ら幅広い層が結集していたとされる。それでも私擬憲法のことは、地元でも忘れ去られていた。

 「当時は政府任せではなく、自分たちで国づくりを考える意識が旺盛だった。残念ながら、今の憲法論議は市民レベルで盛り上がっているとはいえません。過去に学ばなければ」と吉村さんは自省する。先人のまいた種を、再び萌芽(ほうが)させる時が来ている。

 =おわり

=2016/10/03付 西日本新聞朝刊=




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