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社説:安保転換を問う 首相の姿勢 毎日新聞 (2015/5/26)

2015年05月26日(火)


 毎日新聞が、暴走する安倍晋三にひと言申した社説!

 閉塞感の拭えないマスメディアにあっては頑張っている方かも・・・

 と云う訳で、全文引用します。

社説:安保転換を問う 首相の姿勢
 毎日新聞 - 2015年05月26日 02時30分
 

◇決めつけ議論をやめよ

 安全保障関連法案の国会審議がきょうから始まる。自衛隊の海外での活動が飛躍的に拡大し、戦後日本の安保政策の大転換となる法案である。徹底した議論が必要だ。

 そこで注文したい。異論や慎重論に耳を傾けようとしない安倍晋三首相の姿勢をまず改めよ、ということだ。異論を口にするのは「敵」だとばかりに切り捨て、自分の発言は「言論の自由だ」といったような独善的な姿勢のままでは論議が深まるはずがないからだ。

◇レッテル貼りはどっち

 首相はよく「レッテル貼り」との言葉を使う。今回の法案を社民党の福島瑞穂氏が「戦争法案」と批判した途端に首相が「レッテルを貼って議論を矮小(わいしょう)化していくことは甘受できない」と反論したのは記憶に新しい。結局、取り下げたが、自民党は一時、福島氏の発言に対し、議事録修正を求める行動にまで出た。

 私たちも「戦争法案」と決めつけるつもりはない。だが、それでは政府が今回、新法を「国際平和支援法案」と命名し、既存10法の改正案を一括して「平和安全法制整備法案」と名付けたのはどうか。これも一方的なイメージを国民に植え付けようとしているだけではないか。

 これは今回の本質的な問題でもある。先の党首討論では民主党の岡田克也代表が自衛隊の危険はこれで増すのかどうか、再三ただしたが、首相は明確に答えようとせず、後に中谷元防衛相は「自衛隊員のリスクが増大することはない」と語った。

 首相は従来「日本が外国から攻撃を受けた際、米国の若い兵士が命を懸けて日本を守るのが今の日米関係だ」と語ってきた。自衛隊も命を懸ける、あるいはその姿勢を示すことが日米同盟を強固にし、ひいてはそれが戦争の抑止になると首相は考えているのだろう。

 だから「今度の法整備で確かに危険は増すが、それを上回る国益がある」と言うのならまだ分かる。都合よくプラス面ばかりを語るのではなく、リスクもきちんと説明し理解を求めるのが首相の責務のはずだ。にもかかわらず「抑止力が高まるから安全だ」と言うだけではあまりにも説得力に欠ける。その一方で「夏までに成立させる」と結論のみを急ぐ。これでは到底賛成できない。

 首相は従来とあまり変わらないとも強調しているようだ。ならばなぜ憲法解釈の変更にまで踏み切り、大幅に法制を作り直すのか。同時に首相や自民党は憲法9条を改正し国防軍を設ける目標は変えていない。そんな中で今回の法制をどう位置づけているのか。疑問点は数多くある。

 こんな一節を紹介したい。
 「正しいと信じたことはすべて国民のためになる、だから何としてでもやり抜くのだという考え方は、一つの選民意識であり、専制政治に通ずる危険がある」
 1960年6月19日、日米安保条約の改定が国会で自然承認されたのを受けて掲載した毎日新聞の社説の一部だ。当時の首相は安倍首相の祖父、岸信介氏である。改定に際し、強行採決などを繰り返した岸氏の姿勢を厳しく批判した社説である。

◇リスクも誠実に説明を

 安倍首相はこの安保改定をしきりと持ち出し、「戦争への巻き込まれ論は当時も言われたが、それが間違っていたのは歴史が証明している」と言う。祖父と同様、今は批判があっても後世、評価されると信じているのかもしれない。

 当時、改定により米国の戦争に巻き込まれるという議論があったのは事実だ。ただし先の社説では「新条約が現行条約より改正されている点の多いのは事実」と認めている。過激なデモには毎日新聞など新聞各社が批判し、自制を求めていた。

 あの頃も国民の間には白か黒かだけではない多様な意見があった。それを踏まえて、歴代の政権は憲法9条と日米安保とのバランスを慎重にとってきたのである。

 自衛隊の海外派遣が初めて具体的に国内で議論となったのは90年夏のイラクによるクウェート侵攻からだ。時の海部俊樹内閣は海外派遣に道を開く国連平和協力法案を直ちに国会に提出したが、急ごしらえで憲法との整合性などについて政府の答弁は迷走した。そこで自民党はこれでは世論の支持は得られないといち早く判断し、自ら廃案を決めた。

 後の国連平和維持活動(PKO)協力法も3国会にわたる長い審議を経て成立した。かつての自民党には異論に耳を澄ます慎重さと度量の広さがあった。

 55年前の毎日社説は「正しいと信じ、ためになると考えたら、まず国民を納得させる努力が必要」と書いている。安保政策は国民の十分な理解と納得のうえに成り立つものだ。無論、それは今も変わらない。

      ◇

 国会審議がスタートするのに合わせ、改めて今回の法制の問題点や国際状況、そして日本の将来像についてシリーズで考えていく。 
 




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