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再び トマ・ピケティ氏 のお話し 来日を機に各紙が取り上げ

2015年2月3日(火) 節分

二日前に取り上げた フランスの経済学者・トマ・ピケティ氏 に関して
来日を機に各紙がインタビューに挑戦し、取り上げています。 

「21世紀の資本」のインパクト 3人の有識者語る
 日本経済新聞 電子版 - 2015年2月2日 7:00


「格差は民主主義の脅威」 ピケティ教授、東大生に語る
 日本経済新聞 電子版 - 2015年2月1日 3:30


資本主義を生かすために トマ・ピケティ氏に聞く
 日本経済新聞 電子版(1/2ページ)  - 2015年2月1日 


ピケティ教授、東大で講義 「公平な社会を作って」

 日本経済新聞 電子版 - 2015年1月31日 22:02



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(つづき)


「21世紀の資本」のインパクト 3人の有識者語る
 日本経済新聞 電子版 - 2015年2月2日 7:00
 

 経済書として異例のベストセラーとなっているフランスのトマ・ピケティ教授著『21世紀の資本』は、各界にどのようなインパクトを与えているのか。共訳者や経済学者ら3人の有識者に聞いた。(聞き手は経済部・松尾洋平)

 若田部昌澄・早大教授はピケティ氏が「経済学の民主化」に貢献している点を指摘する。

若田部昌澄(わかたべ・まさずみ)氏 1965年生まれ。早大院経済学研究科、トロント大経済学大学院博士課程単位取得。専門は経済学、経済学史
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若田部昌澄(わかたべ・まさずみ)氏 1965年生まれ。早大院経済学研究科、トロント大経済学大学院博士課程単位取得。専門は経済学、経済学史
 ――経済学の歴史の中でピケティ氏の研究はどう位置づけられますか。

 「非常に大事な一里塚を築いたと思う。各国の研究者と協力し、今までなかった所得と格差のデータベースを作り、独自の研究に取り組んだ。単に学術論文を書くだけでなく、一般書の形で自分の考えを世の中に問うた。彼自身、経済学の民主化を提唱しており、人々が経済の問題を積極的に考えるべきだと主張した」

 「今日本で起きているピケティ・ブームは、かつてフリードマンが記した『選択の自由』、あるいはガルブレイスの『不確実性の時代』のブームを思い起こさせる。ピケティ氏はその意味で、21世紀を代表するグローバルな知識人――パブリック・インテレクチュアルになり得ると思う」

 「かつてアダム・スミスは『国富論』を記して世の中に議論を巻き起こした。20世紀はフリードマンやサミュエルソン、トービン、クルーグマンなどがいる。今回の格差をめぐる研究をきっかけに、ピケティ氏はそういった時代を代表するエコノミストの系譜に連ねられるだろう」

 ■「歴史的なデータは文句なく面白い」

 ――『21世紀の資本』の読みどころはどこにありますか。

 「この本は3つの特徴がある。1つは歴史的なデータをもとに格差を実証している点。2つ目は格差が広がる理由として『r(資本収益率)>g(経済成長率)』、つまり保有する資本で得られる利益は、働く人の所得の伸びより大きいので、豊かな人がますます豊かになる、という理論を打ち出す点。3つ目は政策提言で、グローバルな累進資本課税を提唱しているところだ」

 「一番最初の歴史的なデータは文句なくおもしろい。格差の問題は感情的な議論に走りやすいが、その中で彼はデータを元に非常に実証的な議論をしている。一方で2つめの『r>g』の理論、あるいは3つ目の政策提言のところは、まだまだ検討すべき課題がある」

 ――ピケティ氏が唱える「r>g」は本当に格差拡大の理由でしょうか。

 「足元で非常に格差が拡大しているのは米国や英国などアングロサクソンの国だ。この国のデータを詳しく見ると、トップ層の所得の中に占める労働所得は非常に大きく、資本による所得はそこまで大きくない」

 「近年、年収数百万ドルを稼ぐスーパー経営者が台頭している。著名ビジネススクールで経営学修士号(MBA)をとり、ゴールドマン・サックス証券など多国籍企業を渡り歩き、プライベートジェットを乗り回す、そんな層が確立されつつある。ひょっとしたらそういった人々の存在が格差拡大の理由かもしれない。企業の生み出す富が一部に集中する傾向が格差を生んでいるなら、岩井克人・東大名誉教授が指摘するような米英型コーポレートガバナンスの欠陥が問題の根本にあるのかもしれない」

 「ただ、彼はこの本で『21世紀の資本』について語っている。20世紀は確かに経営者の過大な報酬が問題なのかもしれないが、これからの21世紀は、まるで19世紀以前のように、持っている資本が所得格差を生む社会になる、という警鐘を鳴らしている。今まではともかくこれからは違いますよと言っている。そこは注意深く読まねばならない」

 ■「資本課税の次善の策としてインフレも」

 ――格差是正には累進的な資本課税だけが解なのかは疑問です。

 「仮に『r>g』が格差の原因なら、『g』つまり経済成長率を高める努力も不可欠だ。ピケティ氏自身も経済成長は重要だとの立場にある。いわゆる『ゼロ成長論』とは全く異なるし、日本の左派論壇にあるような『脱経済成長』とは一線を画している。経済成長と格差是正はトレードオフの関係に位置づけられてはいない」

 「各国が抱える巨額の公的債務を減らす方法や格差是正のために、彼は資本課税を挙げているが、次善の策としてインフレも挙げている。事実、彼はインタビューで、公的債務の圧縮のために『2~4%程度の物価上昇を恐れるべきではない』と語っている」

 「ただ、ピケティ氏はインフレの副作用も指摘している。お金持ちから貧しい人に富の再分配をするには必ずしも十分ではないツールだと指摘する。この指摘はおそらくフランス国内での政策論議を意識したものだと思われる。彼はデフレが良いとは言っていないし、必ずしも今の日本の状況を踏まえて述べているわけではない。格差を含め様々な経済問題を解決するには、日本はまずデフレからの着実な脱却が不可欠だと私は考える」

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 共訳者である山形浩生氏は「経済学の煮詰まり感を吹き飛ばす」効果があるという。

  ――10万部を超す売れ行きです。「21世紀の資本」がここまでヒットするとは想像できましたか。

 「いや、すごいね。正直、こんな騒ぎになるとは思わなかった。分厚い本だし、普通の感覚なら3000部くらいなのかなあと考えていた」

 「いままで小説家のウィリアム・バロウズや経済学者のクルーグマンなど、40冊くらいの本を訳してきたけれど、今のペースなら『21世紀の資本』は、僕の翻訳した本の売り上げ合計に匹敵するくらいの部数になるかもしれない」

 「もともと日本人は格差の問題に興味がある。それに、アベノミクスが盛り上がっているけれど、本当のところはどうなの、一部の人しか恩恵がないんじゃないの、と考える人も多いのだろう。うまくたくさんの人々のニーズに合致した」

■「抽象的な数学の世界」と経済学を批判

 ――訳者として一番の読みどころはどこでしょうか

 「ピケティは経済学者も歴史学者も注目してこなかった各国の納税データを長期にわたって収集し、微分積分みたいな難しい数学は一切使わず、足し算やかけ算など単純な算数で、資本と格差の歴史を議論している。翻訳する前は、ややこしい本だったらどうしようかなと思っていたが、実際は非常にわかりやすい本だった」

 「彼はこの本で、今の経済学について、抽象的な数学の世界にばかりこだわっていると批判し、もっと現実の問題に目を向けろと言っている。確かに今の経済学には何となく『煮詰まり感』が出ていたが、そこから離れて、目の付け所さえ良ければ新しい分野が開けるんだ、というのを身をもって示したと思う」

 「あと、この本は小ネタが色々おもしろい。米国の資本を議論する中で、奴隷がどのような値段で扱われていたか詳細に書いている。最高税率の話では、かつてフランスに独身税や『子どもができなかったら支払う税』なんてものがあったとも紹介している。バルザックの小説からの引用が有名だけれど、ほかにもタイタニックとか有名な映画を引用したり、フォーブスの長者番付のようなゴシップネタも富の集中という視点で真面目に分析している。固定観念を打ち破る試みが随所にあっておもしろい」

 ――識者の中には「ピケティ氏の研究はアベノミクスが効果がないことの証左だ」という人もいます

 「実際はそんなに単純な議論じゃない。経済成長やインフレが格差縮小にどういう効果を上げるかについて、彼は良い点、悪い点を両方示している。それぞれの立場の主張を掲げる人が、都合のよいところをピックアップして自分の主張の裏付けに使っている。なんと言っても長い本だから、いろいろな事を盛り込んでいるので、いいように使われやすい」

 「この本の弱い点はデータ重視のところだ。あくまで相関関係を示すにとどまり、因果関係を証明しているわけではない。ピケティの議論で中心となる『r>g(蓄えたお金が生む利回りrは働く庶民の賃金上昇率gを上回るので、お金持ちがどんどんもうかる)』の関係も、なぜそうなるのかを説明しているわけではない」

 「訳者としては春までに彼の両論併記の部分を整理して、あとがきと一緒に本として出すつもりだ」

■「日本では夏から実証分析が本格化する」

 ――ピケティ・ブーム後の経済論壇に何を期待しますか。

 「この1月には米国経済学会の大会で、ピケティを招いて『21世紀の資本』をめぐるセッションが開かれた。座長であるハーバード大のマンキュー教授が『r>g、だからどうした(so what?)』と題した論文を出していて、幅広い議論を仕掛けている」

 「セッションでは、そもそも格差は悪いことなのかとか、経済モデルで解いたらこうなるとか、人的資本の影響を入れると格差はこうなる、とか幅広い議論があったようだ。米国ではブームから半年たって印象論を超えた議論が始まった」

 「日本でも、今のブームが一巡して、今年夏ぐらいには本格的な実証分析が出てくるんじゃないかと期待している。日本は本当にトップ1%に富が集中しているのか、貧困層はどうなのか、データに基づいたしっかりした議論が盛り上がって欲しい」

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  「教育経済学」が専門の中室牧子・慶大准教授は「分配」にスポットを当てたピケティ氏の功績を評価する一方、教育面で格差是正に取り組む必要があると訴える。

 中室牧子(なかむろ・まきこ) 1975年生まれ。慶大卒業後、日銀や世界銀行などを経て現職。コロンビア大博士。経済理論を使って教育を分析する「教育経済学」が専門。
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 中室牧子(なかむろ・まきこ) 1975年生まれ。慶大卒業後、日銀や世界銀行などを経て現職。コロンビア大博士。経済理論を使って教育を分析する「教育経済学」が専門。
■格差社会・米国の問題点は教育費

 ――格差の少ない社会を目指すには何が必要でしょうか。

 「重要なのは教育だ。お金持ちの子どもは良い教育を受け、そうでない子どもは良い教育を受けられないという社会では、教育水準の低さがネックになって、本人の能力や努力にかかわらず所得の低い仕事に就かざるを得なくなる。世代を超えて格差が再生産されてしまう」

 「米国では非常に格差が大きい社会だが、大きな背景の1つは大学の学費の高さだ。一流大に入るには寄付金もそれなりに必要になる。逆に教育にかかるお金が非常に少ない北欧はそこまで大きな格差はない。米国の大学は論文数も多く先端的な研究に取り組んでおり、生産性はものすごく高い。その一方で、格差拡大を招く仕組みを抱えている」

 「高等教育へのアクセスは格差是正で大きな論点になる。日本は米欧に比べれば格差は小さいが、その理由の1つは教育へのアクセスのしやすさがある。頑張って勉強をすればいい学校に入れる傾向が、日本にはまだあるし、これは大事にしなければならない」

 ――ピケティ氏は格差是正のために、たくさんお金を持っている人に、資産に応じた税金を課すべきだと提言しています。

 「問題は、税金で集めたお金をどう分配するかだ。単純に所得を再分配するだけでは効果がないとの研究結果が教育経済学にはある」

 「マラウイで貧困世帯層の子どもを支援するために、ある集団は単純にお金を親に渡し、もう一方の集団は『授業日数の85%以上学校に行かせる』『必ず健康診断を子どもに受けさせる』といった条件付きでお金を配った。もし所得だけが問題なら、単純にお金を配った場合も、条件付きで配った場合も、同じ結果になる。だが、実際は条件付きでお金を配った方でないと、子どもの学力が上がらなかった。次の世代に格差を残さないためには、子どもの能力をきちんと伸ばす政策を考える必要がある」

 ――今の日本に必要な取り組みは何でしょうか。

 「貧困と学力の関係を分析し、政策に生かすのが大事だ。ただ、現状ではデータの不足が深刻だ。教育委員会などはプライバシーに対して非常にセンシティブなため、学力と家庭状況のようなデータはなかなか出したがらない。これでは何が必要な政策かわからないため、平等に予算を分配する政策しかとれず、結果的に格差が拡大してしまう。実証に裏付けられた政策をとるために必要なデータが今の日本には圧倒的に不足している」

 「日本は他国に比べ格差は小さいが、それでも都市の一部で生活保護を受けている家庭の子どもが目立ちはじめた。所得によって住むところの差もある。貧困層の集住と学校教育の機能低下を通じて、米国のような格差社会が生まれる可能性がある。早めに手を打たねばならない」

■データに基づく格差論議に意義

 ――『21世紀の資本』は各国で多くの人に読まれているのはなぜだと思いますか

 「格差の議論は感情的になりがちで、自身の経験を元に『あんたは何もわかっていない』みたいな話になることもある。その文脈で言うと、ピケティ氏の本で私が一番感銘を受けたのは、データの緻密な収集作業だ。各国のデータを一生懸命集め、データを元にしっかりした議論をしている」

 「経済学で長らく空白になっていた分配の問題にスポットを当てたという意味で、ピケティ氏の研究は非常に意義のある内容だとおもう。米国を中心に格差が広がる中、この先どうなるのだろうという人々の興味に答えている」

 「ただ、この本は、実は難しい内容だと思う。マクロ経済の理論や分配の問題、実際の統計などきちんとわかっていないと正確には理解できない。この研究で何がわかり、何が課題なのか、整理するのは難しい課題だ。また、研究が進展する中で、様々な場面でピケティ氏に対する批判も多く出てくるだろう。もちろん、批判が多く出てくるだけ重要な研究なのだと言える」 

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